徒然草津生活 Since 2010 (2号館)
本文へジャンプ

東電へ不信感　にじむ不安
安全対策 厳しい視線　柏崎刈羽県民調査
知事の同意「最後の関門」

(出典) 朝日新聞朝刊/2025年10月02日
(過去の関連記事)
　(1)NPG2290_2025.10.02.html / 柏崎刈羽　再稼働に意見二分
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　容認50% 反対48%　県民調査中間報告
　(2)NPG2281_2025.09.04.html / 柏崎刈羽の再稼働　10月末以降に判断
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新潟知事、県民調査踏まえ
　(3)NPG2277_2025.08.29.html / 柏崎刈羽 核燃料取り外しへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7号機　テロ対策工事終わらず
　(4)NPG2253_2025.06.27.html / 東電、柏崎刈羽「早期に」改めて表明
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　株主総会　 電力需要が必要　 致命的なリスク
　(5)NPG2247_2025.06.24.html / 柏崎刈羽原発　新会議を設置
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東電　信頼獲得へ社外から助言
　(6)NPG2245_2025.06.11.html / 地元同意待たず　核燃料装荷
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　柏崎刈羽6号機　再稼働「本命」に
　(7)NPG2238_2025.05.31.html / 柏崎刈羽の再稼働　秋以降に見送りへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　地元同意の判断　ずれ込み
　(8)NPG2232_2025.05.17.html / 柏崎刈羽「議論材料」そろう
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　再稼働判断　新潟知事提示4項目
　(9)NPG2220_2025.03.18.html / 東電　再建計画先送り　柏崎刈羽の再稼働 見通せず
　(10)NPG2138_2024.05.01.html / 柏崎刈羽の再稼働　地元同意見通せず
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　能登地震で不安高まる
　(11)NPG2102_2023.12.28.html / 原発頼み　先見えぬ再建
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　柏崎刈羽運転禁止解除　東電、膨らむ賠償
　(12)NPG2101_2023.12.28.html / 柏崎刈羽「運転禁止」　規制委が解除
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　根深い東電不信　監視継続
　(13)NPG2100_2023.12.28.html / 柏崎刈羽　運転禁止を解除
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　規制委　テロ対策の不備「改善」
　(14)NPG2097_2023.12.21.html / 柏崎刈羽　禁止解除へ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　規制委27日決定　「お墨付きではない」
　(15)NPG2027_2022.09.23.html / 柏崎刈羽　テロ対策不備、東海第二　地元同意なし
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　「再稼働加速」 2原発焦点　


　東京電力が福島第一原発事故後、初めて再稼働をめざす新潟県の柏崎刈羽原発。
再稼働の是非の判断に向けた最後の手続きだった県民意識調査で否定的な意見が半数
近くに上ったことに、県からは驚きの声も上がった。　一方、再稼働を推し進める国側の姿勢
に変化はなさそうだ。

柏崎刈羽県民調査

　東電はこれまで、柏崎刈羽の事故防止策を講じ、県も避難路の整備などを進めてきた。
だが今回の調査では、柏崎刈羽が「福島第一原発事故の教訓等を踏まえ十分な安全対策
が取られている」との設問に、「そうは思わない」とする回答が「どちらかといえば」を含めて
43%に上った。

背景には東電への不信感がある。　柏崎刈羽は福島第一の事故後の2012年までに全7基が
停止。　17年に原子力規制委員会の審査をパスしたが、テロ対策の不備などが相次ぎ、21年
には一時、事実上の運転禁止命令を受けた。
　県民の厳しい視線を踏まえ、花角英世知事は18年の就任
以降、福島第一の事故の独自検証や、原発事故時の避難
手段の確保と言ったら取り組みに時間をかけてきた。
さらに、今年に入ると①市町村長との意見交換②県民の
意見を聞く公聴会③県民意識調査を実施し、慎重に手続き
を進めてきた。

　それでも、一定数の県民に再稼働への抵抗感が根強く、
「思ったよりも理解が進んでいない」と県幹部は、うめいた。

　再稼働への賛否が割れるなか、花角知事の判断はいつ
なのか。　①と②は8月に終わり、意識調査の最終結果も
10月末にもまとまる予定だ。　県庁内には知事が年内にも
判断し、表明するとの見通しが浮上している。

　花角知事は判断の表明後、「県民の意思を確認する」と公言してきた。　その方法については来年6月の任期満了までに行われる知事選を想定しているとの見方がある。

　ただ、県庁内では「県議会で決議を得る方法もある」(県幹部)との意見も強まりつつある。
仮に花角知事が再稼働に同意すれば、12月に開かれる定例議会で決議を得て、直後に
再稼働が可能になることもあり得る。

　花角知事はこの日、調査結果で県による事故時の対策への認知度が低かったことを挙げ、
報道陣に「安全対策や防災の取り組みを知らない人が多いのは残念」と述べた。
自身の判断への影響については「(意識調査の)最終分析を見ないと何とも言えない」とし、
明言を避けた
(西村奈緒美、山崎靖)

知事の同意「最後の関門」

　政府や東電にとっては、花角知事の同意が「最後の関門」だ。

　政府や東電はこれまで、花角知事の同意へ外堀を埋めるような動きを見せてきた。

　政府は8月末に原子力関係閣僚会議を開き、原発の立地自治体への財政支援を手厚く
する「原発立地特措法」の対象地域を、原発から30キロ圏内に広げることを決めた。
これは新潟県が要望していた事項だった。

　福島第一の事故後、避難計画の策定が義務づけられる範囲は原発の10キロ圏内から
30キロ圏内に広がった。　一方で、避難道の整備などへの財政支援の対象は10キロ圏内の
ままで、30キロ圏内の地域では負担だけが増えている課題があった。

　歩調を合わせるように、東電も8月末、新潟の経済活性化に向けて脱炭素・デジタル化関連
の事業投資や資金支援をすると打ち出した。　自民党新潟県連は企業誘致など再稼働の
「経済メリット」を求めており、それを意識したとみられる。

　だが、今回の調査で浮かび上がった県民の東電に対する不信感の強さに、経済産業省の
幹部は「大事なのは県がどう結果を受け止めるか。　もし足りない部分があるということで
あれば、足りるようになるまでがんばるしかない」と淡々と話した。
(新田哲史)

　　　　　　　　　　　　 TOPページへ戻る