核のごみ処分場 続かぬ手挙げ
佐賀・玄海町の調査受け入れ表明1年
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(出典) 朝日新聞朝刊/2025年05月10日
(過去の関連記事)
1)NPG2140_2024.05.11.html / 「手は挙げない」一転
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2)NPG2139_2024.05.11.html / 原発立地 初の核ごみ調査
佐賀・玄海町長が受諾
3)NPG2133_2024.04.23.html / 核ごみ文献調査 賛同の佐賀・玄海町議は
「20億円ほしいわけでは」 「原発立地自治体の責任」
4)NPG2132_2024.04.17.html / 核ごみ「受け入れぬ」
佐賀知事、処分場選定巡り
5)NPG2019_2022.06.20.html / 日本の原子力発電所マップ 22年版
原発立地自治体「残るのは最悪」
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選びが足踏みして
いる。 選定プロセスの第1段階の調査を受け入れたのは全国で3町村。 直近の佐賀県
玄海町の受け入れ表明から10日で1年となるが、後に続く自治体はない。 原発のある自治
体は、核のごみが留め置かれることに危機感を抱き、議論を呼び起こそうと動き始めて
いる。
「あと1年ぐらいの調査の間に、2、3カ所でも
(他の自治体で)手を挙げてくれるところが
出てくれば---」。 九州電力玄海原発がある
佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は4月下旬、
朝日新聞の取材にこう話した。
処分場選びの第1段階の「文献調査」。
昨年5月に脇山氏が受け入れを表明し、原子
力発電環境整備機構(NUMO)が2年程度
かけて地質図などを調べる。
脇山氏はもともと調査に後ろ向きだった。
国の「科学的特性マップ」では地下に石炭資源
があることを踏まえ、「好ましくない特性がある
と推定される地域」とされる。
受け入れに転じたのは、議会が調査を求める
請願を採択したためだ。 文献調査では最大
20億円が国から交付されるが、町は原発マネ
ーで財政に余裕がある。 脇山氏も議会も交付金目当てではなく、停滞している国の処分場選びを前に進めたいとの思いがある。
とはいえ、最終的な処分場建設まで見据えている姿勢は、脇山氏には見られない。 受け
入れ表明時には突き放したように「日本のどこかに最終処分場の適地が見つかるための呼び
水となったらありがたい」と述べた。
それから1年、後に続く自治体は現われていない。 国は10カ所程度の候補地から適地を
選ぶことをめざすが、先行きは見えない。 脇山氏は取材に対し、市町村に判断を委ねる
仕組みに疑問を呈し、「国が積極的に何カ所かを選んでやった方がいい」と主張する。
関西電力高浜原発のある福井県高浜町も、処分場選びの状況に危機感を募らせている。
原発の立地自治体などでつくる「全国原子力発電所所在市町村協議会」に今月12日、
使用済み核燃料の問題を話し合う検討委員会がつくられる。 野瀬豊町長の提言がきっか
けだ。
野瀬氏は2月の会見で最終処分場について「高浜町が今、やりたいという思いはない」と
前置きした上で「立地自治体は使用済み核燃料の発生地であり、(処分場確保など)バック
エンドの課題について真剣に考え、責任を感じている」と踏み込んだ。
危機感の背景にあるのが、立地自治体ならではの事情だ。 「(町内に)使用済み核燃料が
残るのが最悪のシナリオ。 そういった逃げられない宿命がある」と訴える。
一方で「そのうち、立地(自治体)が引き受けてくれるという空気感を感じたりもする」とも
述べ、調査の受け入れには慎重な立場だ。
(森田博志、佐藤常敬)
次の段階 首長同意不可欠
北海道の寿都町と神恵内村は2020年に国内で初めて文献調査に応募。 調査は24年秋に終わり、寿都町全域と神恵内村の一部が、試掘などに進む第二段階の「概要調査」の候補地とされた。
NUMOは説明会を開催、ホームページなどで意見を募った。 今後、意見への「見解書」を
つくり、知事や両町村長に示す。 そして、経済産業相が意見を聴き、概要調査に進むかを
決める。
概要調査に進むには、知事とそれぞれの首長の同意が必要だが、両首長は賛否を明言して
いない。 一方、鈴木直道知事は「道内に処分場を受け入れる意思がない」という道の条例を
根拠に、反対を明言している。
(上地兼太郞、八尋紀子)
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