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10万年 核ごみは眠る
フィンランド 地下450メートル
世界初の最終処分場、試運転へ
(出典) 朝日新聞朝刊/2024年08月12日
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地下約450メートル。 岩肌が蛍光灯に照らされていた。 坑道の奥には、数人の作業員が
動いているのが見えた。
「使用済み核燃料を埋める穴を掘っています」。 この施設を運営するポシバ社のラウリ・パ
ルビアイネンさん(38)が記者に説明した。
フィンランド南西部のオルキルオト島。 原発から出た高レベル放射性廃棄物の世界初と
なる最終処分場「オンカロ」は、８月末にも試運転を始める。 オンカロとは、フィンランド語で
「洞窟」を意味する。
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「オンカロ」の地下内部
=5月13日、フィンランド南西部
オルキルオト島
二重に閉じ込め搬入
1970年代から原発があるオルキルオト島は、与那国島(沖縄県)の半分ほどの面積に今も
3基が稼働する。 南部ロビーサにある2基を合わせた国内計5基の原発から取り出される
使用済み核燃料は、40年ほど中間貯蔵施設に留め置かれたのち、オンカロに運び込まれる。
そして、放射能が一定程度まで減衰する10万年後までこの場所で保管するという、壮大な
プロジェクトだ。
「撮影禁止」の看板がかかった地上建屋内に足を踏み入れると、巨大な装置がいくつも
設置されていた。 搬入された使用済み核燃料は、これらの装置で鉄製、腐食に強い銅製の
容器で二重に閉じ込められ、地下400〜450メートルまで運ばれる。
記者は専用エレベータで地下433メートルに降りた。 さらに専用の車両で工事用機械など
を搬入する曲がりくねった地下道を進むと、坑道にたどり着いた。 1本の長さは約350メート
ル。 等間隔に掘った縦穴に、使用済み核燃料が入った容器を一つずつ、計約40を埋める。
最後に、水を通しにくいベントナイトと呼ばれる粘土などで坑道ごと密閉する。
ボシバ社によると、使用済み核燃料のダミーを使って、８月末にも全工程で装置の試運転を
始め、数ケ月間かけて正常に動くかどうかなどを見極める。 政府から運転許可を得られれ
ば、正式に操業を始める。
6500トン受け入れる計画
これまでにかかった建設費用は10億ドル(約1466億円)。 2120年ごろまでに最大で
6500トンの使用済み核燃料を受け入れる計画で、今は5本しかない坑道も最終的には100
本以上になる。
大きな地震がほとんど起きないフィンランド。 ポシバ社の広報責任者、パシ・トゥオヒマー
さん(62)は「オンカロの周りの岩盤が崩れる可能性もまずない。 何重にも安全対策を講じ
ており、岩盤は水がしみ出しにくいため容器に傷がついたとしても放射性物質が外部に漏れ
出すリスクもない」と強調した。
地元などでは対策の説明を繰り返してきた。 地元の人々からの安全性に関する問い合わ
せや質問は今は、一切ないという。
(オルキルオト島=寺西和男)
続く
NPG2160_2024.08.12.html /
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