全国の市区町村で、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを、条例や導入計画
などの明文化された方針の下で推進する自治体が過去最高の７４％となったことが、朝日
新聞と一橋大学などの全国調査でわかった。　一方で、再エネを進める上で、住民トラブル
への懸念が浮かび上がった。

　■トラブル「発生・懸念」５１％

　調査は２０１４年、１７年、２０年に続き４回目。今年１月から実施し、１３０１市区町村（回答率
７４・７％）が回答した。

　市区町村のうち、過去の調査で再エネについて「明文
化推進」を選んだのは５０・５～５６・０％だったが、今回は
７４・０％と大きく伸びた。　明文化していなくても「推進
の政策を実施」「首長が推進姿勢」を合わせると８５・２％
に上った。

　背景には国の動きがある。　政府は２０年１０月、５０年
までに国内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする
「カーボンニュートラル宣言」を発表。
５０年までに二酸化炭素排出の実質ゼロを目指す「ゼロ
カーボンシティ宣言」を出す自治体も相次ぎ、９月末まで
に１１８８に上っている（都道府県を含む）。

　再エネを推進していると答えた市区町村に、理由を複数回答で尋ねたところ、「温室効果
ガスの排出削減につながる」（８０・８％）、「エネルギーの地産地消」（５０・１％）、「災害などの
リスク対応強化」（３７・８％）の順で多かった。

　一方、再エネをめぐっては各地で景観や環境破壊などの問題が指摘されている。
トラブルについて尋ねたところ、「過去に発生していた」「発生していないが、今後の発生が
懸念」「現在発生している」を合わせると５１・０％となり、これまでで最も多くなった。

　トラブルが発生している施設で最も多かったのはメガソーラーを含む「野立て太陽光発電
（５０キロワット以上）」で６７・７％を占めた。　「立地規制のための条例制定」をした自治体は前回は４・９％だったが今回は１２・３％と大きく増えた。
（編集委員・香取啓介）

続く RE1079_2025.12.02.html / 時時刻刻　再エネで地域活性化　好機か