徒然草津生活 Since 2010 (2号館)

Diary/Archive
　　　　　　2025年05月

令和の米騒動と今年の田植え　　　　　　　　　　　　　1223-2025.05.26

　我家の近くの水田ではゴールデンウィーク頃から田植えが始まり、今も続いています。
既に田植えも終わり、みずみずしい早苗田が光の反射でキラキラ光り、まわりの景色を田んぼに
映し込んでいるところもあります。

我が家近くの水田風景　(2025.05.16_11:54)

　世間では、主食の米の価格が高騰し政府が介入しても落ち着かず、令和の米騒動としてかまびす
しいですね。
たしかに、米価の推移を見ると一瞥してわかりますネ!

過去10年間のコシヒカリ5Kg(@スーパーマーケット)の価格推移
【出典】日本の物価/小売物価統計調査による価格推移－コシヒカリ5Kg－
≪メタ情報≫総務省統計局/小売物価(動向編)調査結果

　近くのスーパーマーケットの米売場の棚には高値の銘柄米だけが残り、安いお米は売り切れで
空っぽでした。
つい一ケ月前には安価なカリフォルニア米も棚にあったのですが、今はその姿もありません。
拙者の主食のレトルトご飯も値上げで15%アップです。

近くのスーパーマーケットの米売場の棚の現況　(2025.05.25_17:11)

　拙者も高騰する米価には無感心で居られず、米の生産現場を観るために近くの田植え現場に
出かけてきました(5月16日)。
たまたま、近くの集落の農家の田植え作業中でした。

　この農家は今はご主人が教職をリタイアされていますが兼業農家だつたとのことです。
今日はサポート役のご夫婦とお手伝いで田植え機を操縦する娘婿の3人での田植え作業とのこと
です。
許可を得て田植え風景をカメラに収めました。

　早苗の入った育苗箱(いくびょうばこ)と肥料を田植え機にセットすることから始まります。
勿論、1週間くらい前には、代搔き(しろかき)といって、田んぼに水を張り土を細かく耕して表面を
平らにする作業は完了しています。

田植え機へ早苗の入った育苗箱と肥料セットのセッテイング　(2025.05.16_10:12)

　田植え機による田植えの開始です。
田植え機は水田の端から端へ一往復すると、新しい早苗や肥料を補充していました。
この田植え機は5条植え(1回に5列の苗を植える)なので、この水田だと完了するのに約3時間
かかるとのことです。
大規模農家のような8～10条植え田植え機なら1時間で終えられるとのことでした。
農機も高価で耐用年数もあり、使用頻度が低いので投資効果は低いようです。

畝を往復する田植え機　(2025.05.16_10:33 & 10:40)

　ご主人とお話をさせていただきました。
耕作している水田はの広さは2区画の約8反で、植えている品種はコシヒカリ。
量的には家族で食べる分のほかに余剰分は JAへ出しているとのこと。

　地球温暖化の影響で一般的には田植え時期が早まっているそうですが、老齢化・人手不足により
この田んぼでは今になったとのこと。
若者は農業専業では食べていけないので農業に見向きもしないそうです。
自身が米作を続けられるのもあと数年とのことでした。

　現下の米価の値上がりは生産者に関係なく、流通の段階で儲けているのではとの見解でした。
こんなことでは、いずれ米も安価で美味しくなってきた米国産やオーストラリア産が占めるのではと。
それよりもコメ離れが加速するかもしれないと危惧されていました。。

　今年は米の増産のためか近江地方では異変が起こっています。
昨年までよく見かけたあちこちの大豆畑が水田に変貌しているのです。
減反政策が続いている中でお米の増産とは異例ですネ!
農家の自主的な判断、コメ不足の危機感の表れでしょうか?

減反政策で昨年までの大豆畑が今年は水田に変貌　(2025.05.26_10:01)

　麦畑は今が麦秋のため、今年は水田への切替えはできません。
田植えの終わった水田と麦畑のコントラストが鮮やかでした。
遠くには拙者が行くゴルフ練習場のネットゲージや近江富士こと三上山も見えます。

黄金色の麦畑と早苗田のコントラスト　(2025.05.26_10:09)　

　これから田植えを待つ代掻きの終わった水田もあります。

田植えを待つ代掻きの終わった水田　(2025.05.26_10:19)

　政府による随意契約による備蓄米の放出効果や2025年産米の増産でお米の安定供給と適正
価格まで下がるのを期待したいです。

　この水田近くにはこんな石碑が立っています。

我家の近くの水田前に立つ石碑　82025.05.16_10:54)

　日本の主食であるお米の安定供給は食料安全保障上、極めて重要な問題です。
それを、この石碑は指摘しています。

ウィーン少年合唱団　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1222-2025.05.10

　4月後半のとある日、新聞の滋賀版で「ウィーン少年合唱団　びわ湖ホールで公演」という記事を
目にしました。
へぇ、5月10日に滋賀県にあの合唱団か来てくれるのかとびっくりしましたよ!

　　拙者、すぐさま、新聞に記載されているびわ湖ホール予約センターに電話したのは言うまでも
ありません。
まだ空席があるか心配しましたが、ラッキーにもS席に2つだけありました。
3階席でしたが、3列目の中央寄りの席を予約できました。

　拙者がウィーン少年合唱団公演に飛びついたのには、オーストリアに深い愛着があるからです。
実は、我が娘の旦那さんはオーストリア人なんです。
2015年に彼のご両親を表敬訪問した折、彼からウィーン学友協会大ホールでのモーツアルト
コンサートに招待され、ウィーンフィルハーモニ管弦楽団の演奏に感激したことがあります。
【参考】Diary.704 / オーストリア・ドイツ・チェコ旅行/第2日目(2015.09.12)_
それ以来、拙者はウイーンの音楽には大いに好意を寄せていたからです。

　これがびわ湖ホールでのウィーン少年合唱団公演のフライヤーです。

　ここでウィーン少年合唱団について、フライヤーから抜粋して転載しておきます。

ウィーン少年合唱団
Wiener Sängerknaben

　　ウィーン少年合唱団の創立は1498年(日本では戦国時代の明応7年)、皇帝マクシミリアン
　1世により宮廷音楽隊で歌う6名の少年が集められたことに始まり、ウィーン宮廷音楽礼拝堂、
　宮廷少年合唱団、そしてウィーン少年合唱団の基礎となる。　巨匠トスカーニが彼らのコーラ
　スを評して≪天使の歌声≫と命名したことでも有名。　世界の数ある少年(少女)合唱団の中
　でも抜群の人気と実力を誇り、9歳から14歳の約100名のメンバーは全員アウガルテン宮殿
　で生活している。

　　ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーとウィーン少年合唱団にゆかりのある
　作曲家の名がついた4つのグループに分かれ、ヨーロッパ各国、アメリカ、アジア、オセアニア
　など世界中のコンサートに出演。　本拠地ウィーンでもウィーン国立歌劇場やフォルクスオーバー、
　ザルツブルク音楽祭やウィーン・フィルのニューイヤーコンサートへの出演を重ね、ウィーンを
　代表する団体のひとつとして活躍している。　また、宮廷礼拝堂のミサで歌うことは今も昔も
　ウィーン少年合唱団の使命とされている。

　　2017年にオーストリアのUNESCO無形文化遺産に登録され、2024年には芸術的および
　社会的に傑出した業績を残した団体や著名人に贈られる欧州で最も重要な賞のひとつ
　『ヨーロッパ文化賞』をウィーン少女合唱団と共同で受賞した。

　2025年は初来日から70周年の記念すべき節目。　モーツァルト組(カベルマイスター; マヌエル・
フーバー)24名が来日し、4/27日から6月半ばまで、全25公演からなる日本ツアーをスタート
させています。

　そして、今日が待ちに待ったびわ湖ホール(大津市)での特別コンサートです。
会場のびわ湖ホールは、先日、芝桜のお花見に訪れた大津びわ湖なぎさ公園の近くにあり、よく
承知しています。

　びわ湖ホールに着くには早すぎました。

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びわ湖ホール全景　(2025.05.10_12:40)

びわ湖ホール前の通りの景色　(2025.05.10_12:43)

　時間潰しにびわ湖岸を散策。
曇り空でしたが、いつもと変わらぬ風景がありました。

びわ湖岸なぎさ公園プロムナードを望む　(12:46)_

なぎさ公園・石場の常夜灯を望む　(13:10)

　開演1時間前にホールに入り、インフォメーションセンターでチケットの受取です。
ホールやホール前の喫茶店には入場を待つ人達で既に混雑していました。

びわ湖ホール・エントランス　(2025.05.10_13:00)

電話予約時に聞いていたチケット予約番号と拙者の電話番号を伝えると受け取れ、便利な仕組み
ですね。。
開演40分前にプログラムを貰い入場し、3階の指定席へ。

ウィーン少年合唱団特別コンサート入場チケット

ホール内に展示の公演ポスター

　3階席から眺めたびわ湖ホールの全景です。
2015年にモーツァルトコンサートで訪れたウィーン学友協会大ホールとの比較です。
さすが、「音楽の都」、世界最高峰のオーケストラの本拠地のホールは格調がありますね。

びわ湖ホール　(2025.05.10_13:46)

ウィーン学友会大ホール　(2015.09.12)

　14:00、開演です。
観客のほとんどは中年以上の紳士淑女で、子供たちの姿が少なかったのは予想外でした。
カペルマイスターのマヌエル・フーバーと共に少年合唱隊が入場してくると割れんばかりの拍手で
迎えられました。
マイスターの流暢な日本語による挨拶の後、下記のプログラムに従ってコンサートがスタート。

　公演中は写真撮影が禁止されているので残念です。
コーラス中にシヤッター音が出るといけないのでやむを得ないですね。

　2025年は、ウィーン少年合唱団のレパートリーに欠かせない作曲家、ヨハン・シュトラウス2世の
生誕200年の年とあって、プログラムのテーマは「生誕200年記念　シュトラウス・フォー・エバー!」。
ヨハン・シュトラウス2世は、合唱団の代名詞でもある『美しく青きドナウ』など、多くのウィンナ・ワルツ
を後世に残したオーストリアを代表する作曲家です。

　彼等の写真が撮れなかったので、Web上で公開されている画像の転載で代替しておきます。

2025来日記念写真@東京オペラシティリサイタルホール　(2025.04.24)
【出典】ぶらあぼ NEWS 「天使の歌声」、初来日から70周年　ウイーン少年合唱団2025 来日記者会見

カペルマイスターのマヌエル・フーバーさん

記者会見後に「ふるさと」「フォー・エバー・ボサノヴァ」
を披露する合唱団の皆さん

2025来日記者会見@東京オペラシティリサイタルホール　(2025.04.24)
【出典】ぶらあぼ NEWS 「天使の歌声」、初来日から70周年　ウイーン少年合唱団2025 来日記者会見

　JAPAN ARTS/HOME/ニユース/公演レポートから幾つかのコンサート風景を転載して
おきます。
　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

チロル地方の民謡のコーラス

J.シュトラウスⅡ世:ワルツ<美しき
青きドナウ>のコーラス>

岡野貞一:ふるさとのコーラス

　各曲を歌唱する前にマイスターが歌曲の説明を日本語で説明して下さり、時々変な日本語に
なると来場者は大笑い。
その後、メンバーの少年が交代で、たどたどしい日本語で歌曲の説明。　そのたびに観客から
大きな拍手!

　それにしても、皆さん、よくも美しい透き通った高い声が出るのには感心、感激しますよ!
歌曲によっては、随時、ギター、ヴァイオリン、アコーテイオンも入ります。

　日本の唱歌「ふるさと」では2番を来場者の皆さんと合唱団が一緒に歌唱。
勿論、日本語で歌ってくれましたよ!

最後を飾ったのはJ.シュトラウスⅡ世(ランツ編曲):ラデッキー・サンバ(ラデッキー行進曲より)では、
来場者も手拍子で参加し、笑顔で終演となりました。

　そして、アンコールです。
曲は①ジルベルト;アヒル　②オーストリア民謡の2曲でした。
最後の民謡では、コーラス中に1人のメンバーによる寸劇もあり大笑いで、エンタメも発揮してくれ
ました。

　いやあ、とても素晴らしいコンサートでした。
ウィーン少年合唱団の皆さん、ありがとう。

安土城跡見学　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1221-2025.05.05

　女房はゴールディンウィークをここ草津で過ごしています。
そんな彼女に石山寺近くに住む妹からお誘いがありました。
お天気も良いのでどこかに車で出かけようかとのことです。
幾つか行先の提案がありましたが、拙者の希望する安土城跡見学となりました。
ご存知の通り、安土城はかって織田信長が天下統一の拠点として築城し、居城としたお城です。

　拙者、滋賀県民になって以来15年経ちますが、安土城跡へ行ったことがありません。
JR琵琶湖線で安土駅を通過する折には、いつも窓外の景色として安土山を眺め、いつかは
訪れてみたいと思っていました。
それが、今日実現したというわけです。

　義妹が9:30に我々をピックアップして一路、安土城跡へ向かいました。
一般道を走り約1時間強で安土城跡前駐車場に到着。

　駐車場の目前には低山の安土山が見え、安土城跡らしく所々に残っている石垣が見えます。
ご覧のように五月晴れ、ゴールデンウィークのさ中ともあって、多くの老若男女の観光客で賑わって
います。

安土山を望む　(2025.05.05_10:55)

特別史跡安土城跡の説明パネル　(10:56)

　安土城跡入口にある受付へ。
受付から杖を突いて石段を登る人の姿が垣間見えます。

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安土城跡への登山入口(受付)　(11:02)

杖を突いて石段を上る観光客の姿　(11:05)

登山の所要時間の案内看板@受付

　受付にかかっている看板には、「登り石段 405段、往復
所要時間約1時間」と。
聞いてみると、実際には混んでいることもあり天守跡まで
石段の山道を登るのに約1時間、下山にも約1時間の道程
とのことです。

　それを聞いて、女房も義妹もすぐさま登山をあきらめ、
拙者もやむなくあきらめることになりました。

　Netで調べて見ると、天守に通じる大手道の石段は
下の写真のようです。
とても勾配があり、それに405段も登るとなると大変ですネ!

現在の安土城跡大手道の直線部
【出典】安土城址公式サイト/織田信長の安土城址と摠見寺

　ということで、城跡見学は近くにある博物館見学で代替することになりました。
さて、ここで安土城の歴史について簡単に触れておきます。

安土城の歴史

　　安土城の築城は、織田信長が竹田勝頼(かつより)を長篠(ながしの)の合戦で討ち破った翌年、天正4年
　(1576)に始まります。　築城にあたっては、畿内(きない)・東海・北陸から多くの人夫が徴発され、
　当代最高の技術を持った職人たちが動員されました。　まさに安土城は天下統一の拠点
　となるべく当時の文化の粋を集めたものだったのです。　築城開始から三年後の天正7年
　には天主が完成して信長が移り住みました。

　　しかし、その三年後、天正10年に本能寺の変で信長が殺されると、城は明智光秀の手に
　渡り、その光秀が羽柴秀吉に敗れたすぐ後に天主・本丸は焼失してしまいます。

　　それでも安土城は織田氏の天下を象徴する城として、秀吉の庇護の元で信長の息子
　信雄(のぶかつ)や孫の三法師(さんぼうし)が入城を果たし、信長の跡を継ぐものであることをアピールします。

　　しかし天正12年、小牧長久手(こまきながくて)の戦いで信雄が秀吉に屈すると織田氏の天下は終焉を
　迎え、翌年安土城はその役目を終えて廃城となるのです。　

　　その後江戸時代を通じて信長が城内に建てた摠見寺(そうけんじ)がその菩提を弔いながら、現在に
　至るまで城跡を守り続けていくことになります。

　【出典】前掲の写真「特別史跡安土城跡」の説明パネル(滋賀県)より抜粋、転載。

　我々はここから、散策がてら水田の向こうに見える安土城考古博物館に向かいます。
ルートマップは以下のGoogle Mapの通りです。

戦国のロマンに触れる安土城跡周辺の散策&博物館見学　ルートマップ

　安土城跡の石碑前の県道の前には、田植えの終わった水田がキラキラ光っています。

安土城址の石碑　(2025.05.05_11:19)

田植えの終わった水田　(11:21)

　この水田の中の農道をエッチラオッチラぶらり散歩。
山すその文芸の郷にドームのある異国風の建物が見えます。
時間が止まったような長閑な景色です。

エッチラオッチラぶらり散歩　(11:21)

文芸の郷を望む　(11:28)

　先ずは、文芸の郷にある「安土城天守信長の館」を見学しました。

「安土城天主　信長の館」を見学　(2025.05.05_11:34)

　織田信長と安土城にまつわる様々の展示が。

　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

3英傑の鎧兜の展示

安土城の模型

安土城築城の様子の模型

　圧巻は安土城天主の5、6階部分の原寸大復元模型の展示です。
狩野永徳一門が描いた紺碧障壁画も再現されていました。

安土城天主5、6階部
(原寸大復元模型)

復元された天主5階部分
(2025.05.05_11:43)

復元された天主6階部分
(2025.05.05_12:07)

　また、創建当時の安土城と城下町を約15分、バーチャルリアリティ映像で視聴し、当時の安土に
タイムスプリットさせていただきました。

　こんな写真も展示されていましたよ!
男前ですネ!
　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックして大画面でご覧下さい

　昼時でしたので近くの「レストラン文芸の郷」で昼食。
拙者は信長そば、二人は信長ハンバーグ。
お餅、鶏肉、味付き椎茸の入ったお味のよい信長そば、美味しかった。

信長そば

信長ハンバーグ

　昼食後は近くの近江風土記の丘にある安土城考古博物館を見学。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

安土城考古博物館　(2025.05.05_13:26)

　リーフレットによると、当館は安土城と織田信長、戦国時代を
テーマとする歴史博物館です。
独特な建物は、中世ヨーロッパの修道院風にデザインされた
ものとのこと。
遠くから見ると異国風の建物に見えましたが、やはりそうだった
のですね。

　館内では写真撮影ができなかったので、目に留まった幾つか
の展示品をリーフレット等から転載するのに止めておきます。

　安土城跡出土の金箔瓦
信長の威厳を天下に知らしめるために大天主にも光り輝く金箔
瓦を使ったのでしょう。
　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

安土城跡出土金箔瓦(滋賀県蔵)
【出典】滋賀県立安土城考古博物館常設展示のご案内

金箔瓦群(摠見寺蔵)
【出典】2025春季特別展安土城@滋賀県立
安土城考古博物館　

　安土山下町中掟書(あづちさんげちょうちゅうおきてがき)
織田信長が安土城築城に着手した翌年の天正5年(1577)6月に、城下町安土を新たなる商業、
交通の拠点とするために出された掟書で、楽市楽座令の典型としてつとに著名なものです。
詳しい解説は、ココをクリックしてご覧下さい。

安土山下町中掟書(近江八幡市蔵)　(重文)
【出典】2025春季特別展安土城@滋賀県立安土城考古博物館

　織田信長朱印状
信長の「天下布武」印が朱肉の印肉で押された古文書(こもんじょ)です。
「天下布武」という文面は、武力によって天下に号令するとの意思を示しています。
信長は岐阜城を攻略した永禄10(1567)年から使い始めたことが分かっています。

織田信長朱印状(個人蔵)
【出典】滋賀県立安土城考古博物館リーフレットより

「天下布武」の朱印

　展示室の安土城天主5階部と同じ八角形のシアターで安土城の姿を再現した高精細CG映像を
約15分視聴しました。
題して「織田信長と安土城～宣教師ヴァリニャーノが見た天下人の城～」。
とても迫力のある映像でした。

　いやあ、今日は歴史漬けの一日でしたよ!
疲れたので館内の喫茶店で一休みして、駐車場に戻ります。
水田の中をJR琵琶湖線の列車が走り過ぎていきました。

安土の水田の中を走るJR琵琶湖線の列車　(2025.05.05_15:37)

　拙者の独り言ですが、こんな立派な歴史遺産があるのに、どうして安土城を再建し、松山城の
ように安土山頂(標高198m)までロープウェイもしくはリフトを敷かないのだろう。
近江八幡市、滋賀県はもっと観光で賑わい潤うのに、もったいない!!!

狂言を観る　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1220-2025.05.03

　女房から狂言を観に行かないかと誘われました。
彼女の姉が友人の出演する狂言の会の案内状を送ってくれるとのことです。
京都の能楽堂で開催され、人間国宝の狂言師・茂山七五三(しげやましげ)も出演するという。

　拙者、狂言なんて観たことがありません。
人間国宝も出るというので好奇心から誘いに応じました。
だいたい、狂言とはどのような芝居かも全く知らなかったので、基本知識を頭に入れて臨み
ました。

　狂言とは?
　室町時代の庶民に根差した滑稽な「物真似芸」である猿楽(さるがく)の滑稽美を洗練させた喜劇。
以上【出典】Wikipedia/「狂言」

　もともと能とセットで演じられる伝統芸能ですが、こんにちでは狂言単体でも上演されることが
多くなりました。
簡単に言うと、お笑いの寸劇です。　今でいう漫才に近い。
会話のベースにあるのは、庶民の出世欲や物欲などで、労使関係にある主人と家来がことばで
応酬を繰り広げる会話劇です。
昔も今も変わらない人間の本質や欲望に、笑いとユーモアをまぶして世の中の不条理を笑いに
昇華させたことで文化の高みに成長したのです。
以上【出典】「能・狂言を観に行こう!」

　なお、狂言には流派があります。
江戸時代に家元制度を取っていた流派には、大蔵(おおくら)流・和泉(いずみ)流・鷺(さぎ)流の3派があったが、このうち、
現在能楽協会に所属する流派として存続しているのは大蔵流と和泉流である。
鷺流は今日山口県・新潟県佐渡島・佐賀県に残存しているが、能楽協会への入会資格を認め
られていない。
以上【出典】Wikipedia/「狂言」
狂言の基礎知識はこのへんにしておきます。

　観劇した狂言の案内リーフレットです。
第10回　狂言　七五三(なごみ)の会　(主催/茂山七五三社中【注】)
今回は語呂合わせでしょうか、令和7年5月3日に開催されたようです。
人間国宝・茂山七五三が主宰する大蔵流茂山七五三社中の発表会でしたので入場無料でしたよ。
【注】社中とは、同門の仲間のことで、ここでは各稽古場で狂言を習う生徒さんたちをいう。

　番組(狂言で演目の意)　画像をクリックして大画面でご覧下さい

　会場は京都市内にある金剛能楽堂(こんごうのうかくどう)です。
京都市営地下鉄今出川駅下車5分で京都御所の前にありました。

　　　　　　　　　　　　　　画像をクリックすると大画面でご覧になれます

京都御所　(2025.05.03_12:47)

金剛能楽堂　(2025.05.03_13:13)

金剛能楽堂のロケーション

　我々2人は午後から観劇しました。
ちょうど演目『神鳴(かみなり)』が演じられていました。

【あらすじ】　医者の少ない田舎での荒稼ぎを目論んで旅に出たヤブ医者だが、俄に空が曇り轟く雷鳴
　と共に神鳴が目の前に落ちてくる。　腰をしたたかに打ち付けた神鳴は目前の人間が医者であると知って
　治療を求める。　頭で脈を取り、中風と診立てたヤブ医者は針を打ち、神鳴は針を怖がり大層に痛がるが
　腰の痛みは完治する。　喜んで天に帰ろうとする神鳴にヤブ医者が治療代を請求するが、神鳴には持ち
　合わせが無い。　ヤブ医者が「日照りや水害が無いこと」を求めると、神鳴は「800年日照りや水害を無い
　ようにする」と約して天に帰っていく。
　【参考】①Wikipedia/「雷(狂言)」
　　　　　②お豆腐狂言茂山千五郎家　神鳴

　次の演目『名取川』は、あらすじがもうひとつ分かりませんでした。
観客がくすくす笑っている場面では、笑っていない(笑えない)自分がありましたよ。

続いて、演目『柿山伏(かきやまぶし)』

【あらすじ】　Wikipedia/柿山伏　をご覧下さい。
　【参考】お豆腐狂言　茂山千五郎家　柿山伏

　演目『仁王』は義姉の友人が出演された演目なので特に注目して観ました。
彼は参詣人を演じられていました。
多くの演者が出演し賑やかで、劇中に現在の話題も入れられていて面白かったですよ。

【あらすじ】　賭(か)け事に負け無一文になった博打(ばくち)打ち(シテ)が、国元を出奔する前に
　知り合いのところに寄ると、事情を聞いた知人は、博打打ちを仁王に仕立て参詣人から供え物をとる
　知恵を授ける。　そして仁王の扮装(ふんそう)をさせ上野に立たせると、知人は大勢の参詣人を連れ
　てきて、まず「さくら」になって刀を供えて願い事をする。　それにつられた参詣人たちは着物や金銭など
　を次々に供え、願をかけて帰って行く。➡下に続く

【あらすじ】(続き)　上々の首尾に調子にののった博打打ちが、もうひと稼ぎと待ち受けているところに、
　足の悪い男が登場して、仁王の御利益にすがって治そうと、仁王の身体をなで回すうち、仁王が動くので
　偽物と気づき、追い込む。　博打打ちが目をむき口をかっと開いた「仁王立ち」の姿や、参詣人たちの当意即妙
　の願い事などが理屈抜きに楽しい作品。

　【参考】日本百科全書(ニッポニカ)/狂言『仁王』

　全部で13の演目を観劇しました。
どれも、中世の庶民の日常生活の喜怒哀楽や人間の愚かさ、社会の風刺を題材にして、ユーモアや
人間関係の機微を巧みに描いた喜劇でした。

　一演目当たりの平均演技時間は約30分くらいです。
終了したのは18:30を過ぎていました。
実に5時間近くも観劇したことになります。

　それにしても各演者は長いセリフをよく覚えているものですねぇ!
なかには、演技中に一瞬セリフを忘れ、「ごめんなさい」と言っていたのには大笑いでした。

　演技中に一瞬つまったりセリフを忘れた場合には、黒い紋付き袴を着て舞台の左後方に座って
いる「後見(こうけん)」役がすかさず助け舟を出していました。
そのほか、演者が使う小物の出し入れや舞台上での着替えを手伝ったりしていました。
後見は多くの演目のセリフの全てが頭に入っているようで、その超能力には驚きでした。
拙者にはできないことです。

　各演者が、あの広いホールでの演技にもかかわらず観客にセリフが聞き取れる滑舌の良い発声
にも関心しました。

　いくつもの演目を観ていると、狂言にはよく使われるセリフがあることに気付きました。
いくつか、列記しておきましょう。

　・～でござる(語尾としてよく出てきます)－－－→〜であります、〜です
　　　　「かしこまってござる」などの形で登場し、登場人物が主人に対して敬意を示す場面で使われる。
　・心得た－－－→わかりました
　・やるまいぞやるまいぞ－－－→やってくれたな(このやろう)
　・最前から(まで)－－－→さきほどから(まで)
　・そろりそろり参ろう－－－→ゆっくりと参ろう(登場人物が何かを恐れたり、慎重に進もうとする
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　場面で使われることが多いようです。)
　・総じて－－－→おおよそ、だいたい、一般に
　・ころんころん－－－→狂言で使われる擬音語の一つ。
　　　　　　　　　　　　　　　　物が転がる様子や、軽快な動きを表現する際に用いられる
　・はっはっはあ～－－－→笑い声や驚き、強調の意味を持つ掛け声

　登場人物では太郎冠者(たろうかじゃ)や次郎冠者がよく出てきます。
太郎冠者は狂言で主人(大名などが多い)に仕える使用人。　次郎冠者が出てくる場合は太郎冠者
が使用人のかしらで、次郎冠者がその次の使用人ということです。

　面白かった幾つかの演目について、あらすじを記しておきます。

演目『昆布売(こぶうり)』

【あらすじ】　召使いを連れずに外出した大名が、行きずりの若狭の昆布売(シテ)を刀で脅し、むりやり
　自分の太刀(たち)を持たせる。　腹にすえかねた昆布売は、大名が油断したすきに太刀を抜いて逆に脅し、
　小さ刀(ちいさがたな)を取り上げたうえ、昆布を男に押し付けて売らせる。　売り声にさまざまな節をつけて
　謡い舞わせたすえ、商売繁盛の文句を大名に謡わせておいて、昆布売は返す約束の刀を持ったまま逃げ
　て行く。　類曲『二人大名(ふたりだいみょう)』同様、ストーリーに下剋上(げこくじょう)的気分も漂うが、
　さまざまな節で昆布を売るという趣向がこの曲では中止をなしている。　売り声の節は、平家節、小歌節、
　踊り節を用いる。

　【参考】日本百科全書(ニッポニカ)/狂言『昆布売』

演目「二人袴(ふたりばかま)」

【あらすじ】　世間知らずの聟(むこ)は、聟入りに1人で行くのが恥ずかしく、親(ここでは兄)に、
　舅(しゅうと)の家の門前まで付き添ってもらう。　親はただちに引き返すつもりだったが、舅宅の太郎
　冠者に見つけられ、そろって座敷へ出るように請われる。　しかし、袴が1枚しかないので、2人で代わる
　代わるにはき換えて舅の前に出て挨拶をする。　さて、両人いっしょにと呼ばれて当惑した親子は、袴を
　前後2枚に引き裂いて、めいめい前垂れのように前に当てて座敷へ出る。　酒宴が催され、所望される
　ままに舞を舞うが、聟も親も袴の後ろのないのを見つけられ、面目ないと退散する。　登場は聟、親、舅、
　太郎冠者の4人で聟がシテ。　曲中の小舞(こまい)は、大蔵流は≪盃≫≪桑の弓≫≪雪山≫、和泉流は
　≪宇治の晒(さらし)≫≪花の袖≫≪七つ子≫。　無器用な長袴の足さばき、酒宴の席での無遠慮な応答
　など、幼稚で無邪気な聟の性格がほほえましく描かれる。

　【参考】日本百科全書(ニッポニカ)/狂言『二人袴』

演目「禰宜山伏(ねぎやまぶし)」

【あらすじ】伊勢の禰宜が街道の茶屋で休んでいるところに、羽黒山の山伏(シテ)が入ってきて、
　茶がぬるいの熱いのと難癖をつけ、あげくは禰宜に自分の肩箱を担げと無理難題。　茶屋が仲裁に入り、
　名作の大黒天(大黒の面を使用、子のときは使用せず)を持ち出し、これを祈り招いたほうを勝ちにしようと
　提案する。　2人が祈りだすと、大黒天は禰宜のほうへ向き浮かれ立ち、山伏がむりやり自分のほうに向かせ
　ようとすると槌(つち)を突き出し、ついには追い込む。　神仏混淆(こんこう)の時代、禰宜と山伏はともに
　民衆のなかに分け入った宗教者であり、いわば商売敵(がたき)でもあった。　いつも下手(したで)に出る
　したたかな禰宜、威勢がいいが空いばりの山伏－－宗教者を見つめる狂言作者の目は、いつも鋭い。
　【参考】①日本百科全書(ニッポニカ)/狂言『禰宜山伏』

　そして、トリは人間国宝・茂山七五三による番外小舞「貝尽し」でした。
後方の舞台席で茂山一門8人が謡う地謡(じうたい)で紋付袴姿で舞う短い舞です。
小舞は、本来、狂言の酒宴の場面で舞われる舞ですが、小舞だけを独立させて演じることもある
ようです。
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人間国宝・茂山七五三と小舞「貝尽し」　(2025.05.03\18:29)

　初めて観た狂言ですが、漫才とは異なる笑いですネ!
狂言は、ストーリーが決まった演目が繰り返し演じられる型に基づいた伝統的な笑いで、観客は
それを承知でその様式を楽しむ演劇です。

　一方、現在の漫才は自由な発想で即興性を生かした笑いであり、時事ネタや社会風刺を取入れ
ることが多い時代に合わせた笑いです。

　皆さんの中で狂言を観てみようと思われたら、この笑いの違いを理解されて観劇されるのが
宜しいかと思います。
狂言は古典的な素朴な笑いの世界です。

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