 再エネ発電の「出力制御」
なぜ増えている?
|
(出典) 朝日新聞朝刊/2024年02月10日
太陽光発電が増え、昼に余るように。 節電の影響も
Q 再生可能エネルギーの発電が止められているの?
A 「出力制御」とよばれるものだ。 電気は水やガスと違ってためるのが難しい。 そのため
使う量と発電する量を常にほぼ同じにしないと、大停電になるおそれがある。
大手電力の送配電会社が地域ごとに必要な量と発電量のバランスを調節している。
Q なぜ最近増えているの?
A 太陽光や風力など時間や天候によって発電量が変わる変動電源が増えたからだ。
特にここ10年で太陽光発電が飛躍的に増え、昼に電気が余るようになった。 電気代が
高くなったことで節電が進み、全国的に需要が減っている影響もある。
Q 出力制御は送配電会社が自由におこなっているの?
A 国が定めるルールに従って手順をふんでいる。 まず、石炭やガスなど火力発電の出力を
下げる。 次に送電線で他地域に電気を送る。 それでも追いつかなければ、太陽光や
風力を止める。 原子力と水力、地熱は最後まで手を付けない。 国は、出力を小刻みに
調節するのが技術的に難しいと説明するが、フランスでは需要に応じて原発の出力を変
えるのは日常だ。
Q 太陽光の電気を捨てるのはもったいない。 制御量をもっと減らせないの?
A 出力制御の判断や運用は、国全体の需要調整を担う機関が月ごとに検証し、適切だと
公表している。 ただ、トラブルなどで需給が急変した時に対応するためなどとして、火力
も30～50%出力を保ち、地域間を結ぶ送電線にも余裕を残している。 運用の工夫な
どでさらに出力制御を減らす検討が進められている。
Q 海外と比べてどうか?
A 日本より再エネの導入比率が高い欧州でも、年間の制御率は5%程度にとどまる国が
多い。 広域で余った電力を受け止める送電網を作る▷蓄電池の大量導入▷燃料費が
安い電源を優先的に使うルール▷電気が余ったときに市場価格をマイナスにするしくみ
の導入など、様々な対策をとっている。
(石井徹、安田朋起)
 TOPページへ戻る
|
|
